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街角コラム

「線路跡地」「全長1.7km」「支援型」一味違う再開発で生まれる「下北線路街」を徹底解剖

※下北線路街 公式ホームページより引用

東京・新宿と神奈川・小田原を結ぶ私鉄・小田急電鉄小田原線の複々線化・連続立体交差化事業に伴い、代々木上原~梅ヶ丘駅間が地下化され、線路跡地は再開発され複合商業施設「下北線路街」が誕生、去る2022年5月28日にアートギャラリーが開業したのをもって、小田急電鉄が予定していた施設の建設が終了、下北線路街が全面開業し完成の日を迎えました。

地下化された区間の東北沢・下北沢・世田谷代田の3駅に跨る壮大な再開発プロジェクト。その主体となった小田急電鉄は、地元住民や自治体である世田谷区との対話や検討を重ね、これまでとは異なる手法・コンセプトの再開発計画となりました。

今回は、全面開業を以って完成した「下北線路街」について解説します。

小田急線線路跡地再開発の経緯

※下北線路街 公式ホームページより引用

利用者の増加に対応するため、ラッシュアワーの増発とそれによる時間短縮・混雑緩和を実現したい一方、いわゆる「開かずの踏切」問題の解消という相反する課題に直面した小田急電鉄は、特に利用者が多く、東京メトロ千代田線が乗り入れてくる代々木上原駅より西側(神奈川県川崎市の向ヶ丘遊園駅まで)の区間について、上下線を各2本ずつ敷設する複々線化することとし、それに伴い線路を高架もしくは地下へ移設することで踏切を削減する連続立体交差化事業を立ち上げました。(ただし、川崎市内の登戸~向ヶ丘遊園駅間は川崎市の土地区画整理事業との兼ね合いから、上り2・下り1の3線となっています)

最初に喜多見~和泉多摩川駅間の高架化・複々線化の工事が始まったのが1989年のこと。地権者や地元自治体との折り合いがつかないなどの紆余曲折を経て、唯一の地下区間である代々木上原〜梅ヶ丘駅間の地下化・複々線化工事が2004年に着工し、2018年3月に完成。この連続立体交差化・複々線化事業は30年弱に及び、「平成」時代をほぼ丸々費やした末に完成した、壮大な工事計画であったことがお判りいただけるかと思います。

地価の高い商店街を通っていて用地買収費が嵩むことや、下北沢駅で京王井の頭線が小田急線の線路をオーバーパスしている(高架線で避けている)ことから、代々木上原~梅ヶ丘駅間はこの連続立体交差化事業において唯一の地下区間となりました。全長約1.7㎞、敷地面積約27,500㎡に及ぶ縦長の線路跡地には、商業施設を中心とした再開発を行うことになりました。

従来の手法とは異なる「支援型開発」がテーマ

※下北線路街 公式ホームページより引用

「再開発」と聞くと、老朽化した建物を一掃しながら区画整理を行い、その地域に今までになかった新たなランドマークを建造する、という手法をとることが多く、街の景観そのものを一変させて新たな価値を見出す、という傾向が強くなっています。実際、この小田急線連続立体交差化事業においても、地下化によって現れた広大な線路跡地に建てられることになった商業施設には、当初は有名ブランド店を含めたテナントの誘致を行い、海外からの来日客にまで範囲を広げ「街の外」からの流入を見込むとしていました。

ところが、下北沢駅周辺の「街の特性」を鑑みた時、小田急電鉄は従来からのその手法による再開発計画では地元住民の理解を得られないと判断、再開発計画のコンセプト・方向性を大きく変えることにしました。

小田急電鉄が注目した、下北沢駅周辺の「街の特性」――演劇や音楽、古着ファッションなどサブカルチャーの発信地として知られる「シモキタ」。多様性に富んだこの街を行き交う人々が個性にあふれ、そしてそれらが高い寛容性によって共有されていると考え、地域の人々が街を作るという概念の元、そういった既存のポテンシャルとしてシモキタの魅力を引き出し活用するために、この地ならではの個性をまちづくりに反映すべく、小田急電鉄では「BE YOU. シモキタらしく。ジブンらしく。」を開発コンセプトとして策定。「街の姿を変える」という従来のやり方ではなく、開発を通じて「街を支援する」という思いから、小田急電鉄はこの再開発計画に「支援型開発(サーバント・デベロップメント)」というテーマを掲げています。

再開発の主体は事業者である小田急電鉄ではなく地域のプレイヤーであり、小田急電鉄が地域の価値観を重視しながら地元の人々をサポートする側にまわり、地域の持つ本来の魅力を引き出すことで、地域への愛着を育むのが、支援型開発の特徴としています。

地元住民との対話の末に生まれた13の施設

再開発計画の主体を、地元住民などの地域のプレイヤーと位置づけたことから、シモキタに住む人・働く人・訪れる人の毎日をさらに充実したものにするため、小田急電鉄は「多彩なコンテンツからどのようなものを集めるべきか?」という点を、地元住民と対話を重ねながら検討してきました。大切にしたのは、「多様性」と「新しいつながりを作り出すきっかけ」。個性あふれる施設を下北線路街に集め、人々がつながりあうことで、シモキタの街全体がより賑わっていくことを目標としています。

それでは、地元住民との対話を重ね、2016年頃からこの「下北線路街」の地に生まれた新たな13の施設をご紹介します。

①リージア代田テラス (世田谷代田エリア 2016年2月開業)

※リージア代田テラス 特設ホームページより引用

世田谷代田駅西口から西へ徒歩2分、世田谷代田キャンパス「マンマダイタ」の隣に位置しています。各住戸に前庭と専用テラスを設け、「ふたつ庭のある暮らし」をテーマにしたメゾネット型のテラスハウス賃貸住宅。目の前の坂道からは富士山が望め、子育て層やDINKSの方々に、この地域ならではのゆとりある豊かな暮らしを届けます。

②世田谷代田キャンパス「マンマダイタ」 (世田谷代田エリア 2019年4月開業)

※下北線路街 公式ホームページより引用

世田谷代田駅西口から西へ徒歩2分。東京農業大学のオープンカレッジ、アンテナショップ、地域密着のカフェレストランなどが集合。広場では、定期的に朝市やマルシェが開催され、“食”を通じて人と地域をつなぎます。

③CAFE KALDINO (世田谷代田エリア 2020年1月開業)

※KALDI COFFEE FARM 公式ホームページより引用

世田谷代田駅西口出てすぐ。世田谷代田に本社を構え、輸入食品でおなじみの「カルディコーヒーファーム」を展開する株式会社キャメル珈琲の関連会社が運営。テストキッチンを併設したテイクアウト専用ベーカリーカフェスタンドで地域の豊かな暮らしを支えます。

④温泉旅館 由縁別邸 代田 (世田谷代田エリア 2020年9月開業)

※下北線路街 公式ホームページより引用

世田谷代田駅東口出てすぐ。都会の喧騒を忘れさせ、日々の疲れを癒す温泉旅館。箱根から運ぶ温泉露天風呂のある大浴場に、レストランや茶寮&BAR、ボディケアサービスなど宿泊客以外の方も利用できるくつろぎが揃います。

⑤世田谷代田 仁慈保幼園 (世田谷代田エリア 2020年4月開業)

※下北線路街 公式ホームページより引用

世田谷代田駅東口から東へ徒歩3分。子ども一人ひとりの主体性を大切にする認可保育園。 コミュニティスペース等を併設することで、地域と新しいつながりを生み出し、 人と文化の出会う保育園を目指します。

⑥BONUS TRACK (世田谷代田エリア 2020年4月開業)

※BONUS TRACK 公式ホームページより引用

世田谷代田駅と下北沢駅の中間地点付近にある、住居併設の飲食店や物販店をはじめとした新しい商店街。敷地内の広場では、マルシェなどのイベントも。個人の商いや若者のチャレンジがさらに盛り上がるような、“店主の顔”の見える場所を目指します。

⑦SHIMOKITA COLLEGE (下北沢エリア 2020年12月開業)

※SHIMOKITA COLLEGE 公式ホームページより引用

下北沢駅南西口から南西へ徒歩4分。高校生、大学生から社会人まで、多様な経験や価値観をもつ居住者が一つ屋根の下で寝食を共にする中で学び合う場。下北沢のまちをキャンパスに見立て、まちの人たちとの関わり合いも通して、これからの社会を導いていく次世代を育む場を目指します。

⑧NANSEI PLUS (下北沢エリア 2022年1月全面開業)

※下北線路街 公式ホームページより引用

下北沢駅南西口改札前に生まれた、複数の建物で構成する「駅前の新しいカタチ」。 中心となる5F建ての複合施設「(tefu)lounge」は、思い思いの過ごし方が出来る“まちのラウンジ”をコンセプトに、グローサリー、コーヒースタンド、カフェラウンジ、ミニシアター、シェアオフィスで構成。他にも“食”がテーマの4つのお店に加え、世田谷代田側には芝生の広場、アートギャラリー、園芸ショップが立ち並ぶなど盛りだくさん。気軽に文化に触れることができて、コミュニティにも参加できる開かれた場を目指します。

⑨シモキタエキウエ (下北沢エリア 2019年11月開業)

※小田急不動産 公式ホームページより引用

下北沢駅直結、生活雑貨やグリーンショップ等の販売店、カフェをはじめ大衆居酒屋や立ち飲み屋などの飲食店が集まる商業施設。シモキタの街中のように雑多感を感じられ、幅広い方々やシーンに合わせて利用できる店舗が出店します。

⑩下北線路街 空き地 (下北沢エリア 2019年9月開業)

※下北線路街空き地 公式ホームページより引用

下北沢駅東口から北東へ徒歩4分。常設のカフェスタンドや、シモキタらしい個性的なイベントの数々、さらにオーナーが定期的に入れ替わるPOP UPキッチンもご用意。みんなが作り手となって自由に楽しめる、実験的な広場です。

⑪reload (東北沢エリア 2021年6月開業)

※下北線路街 公式ホームページより引用

東北沢駅西口から南西へ徒歩4分。店主の顔が見えるセレクトショップやこだわり食材のカフェなどが低層分棟形式に集う“個店街”。感性を刺激する“いいもの”が多彩に揃い、従来のビル型商業施設とは異なり、街中の路地を散策しているような楽しさが感じられる空間です。

⑫ADRIFT (東北沢エリア 2021年9月開業)

※下北線路街 公式ホームページより引用

東北沢駅西口から南西へ徒歩3分、reloadとマスタードホテルの間にあります。ちょっとしたライブや演劇など、パフォーマンスができる充実した⾳響・照明設備、高速ネットワーク回線を兼ね備えたエンタメカフェ。一般の方でも、レンタルスペースとして貸し切り利用が可能で、カルチャーの街・シモキタの魅力をさらに盛り上げます。

⑬MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA (東北沢エリア 2021年9月開業)

※MUSTARD HOTEL SHIMOKITAZAWA 公式ホームページより引用

東北沢駅西口から南西へ徒歩1分。国内外のさまざまな旅行者のための宿泊施設。個室仕様の客室のほか、ホテル内に併設のカフェバーは、一般の方も利用可能。シモキタのカルチャーに根付いた音楽やイベントの発信も行います。

新たなコンセプトの再開発はニューノーマル時代の先駆け

施設以外で特徴的なのは、下北沢という街と線路跡地ならではの「開放感あふれる空間」。都心の再開発計画と異なり、高層ビルやマンションは一切建設されず、誕生した施設はほとんどが2階建てで、一番高くても5階建てに留まっています。また、下北沢駅直結の商業施設「シモキタエキウエ」の2階からNANSEI PLUSにかけては線路跡地上空にかかるデッキで繋がれ、街全体の回遊性向上に一役買っています。

また、細やかな植栽計画に基づき、緑豊かな風景が広がるのも特徴です。全長約1.7㎞、幅は線路が2本引けるほどしかない細長い土地に生まれた13の施設を繋ぐ街路は、たくさんの木々や草花にあふれ、歩いているだけで心地のいい時間の創出を目的としています。

下北沢駅・シモキタエキウエの2階からNANSEI PLUSを繋ぐデッキを抜けた先には、草木が生い茂る広大な広場が見えてきます。小田急電鉄と世田谷区との共同事業で整備が進む、NANSEI PLUS内の広場「ののはら」です。BONUS TRACK方面の道路を挟んだ反対側には世田谷区が整備する「シモキタ雨庭広場」もあり、元々この地域に不足していた「緑」を介して地域振興に役立てたい考えです。

広場「ののはら」に面して2022年4月に開業した園芸ショップ「シモキタ園藝部 ののこや」は、地元住民を中心に2020年3月に発足、翌年には法人化された団体「シモキタ園藝部」が運営。地元でとれたハーブを使ったハーブティーや園芸関連品の販売を行う他、広場「ののはら」をはじめとする下北線路街の草花の手入れを行っていく予定です。それに併せて、今後この街の緑を守っていくために、緑を活かした街づくりを行っていく拠点となるコミュニティスペースも併設、地域住民が実際に街づくりに貢献することで、小田急電鉄が掲げる「支援型開発」を実践することができます。

「シモキタ園藝部 ののこや」と向かい合うアートギャラリー「SRR Project Space」が5月28日に開業したのをもって、東北沢~世田谷代田駅間の線路跡地に再開発計画によって誕生した「下北線路街」は完成を迎えました。下北線路街の各施設の開業は、新型コロナウイルス感染症の拡大と時期が重なるという不運に見舞われましたが、施設の人気や集客は高いとのことです。

コロナ禍で乗降客数が大幅に減った鉄道会社は、従前の手法にとらわれない、駅前の活性化や周辺の街づくりによって、駅周辺エリアの価値を高めることが急務となっています。街の外、遠く離れた人々よりも、駅を利用する地元住民をターゲットとして呼び込むだけでなく、その土地のポテンシャルである魅力や個性を引き出し、地元住民と一体となって育てていくという、下北線路街のプロジェクトは、奇しくもコロナ禍がもたらした人々のライフスタイルの変化や所謂ニューノーマル時代に即した街づくりとなりました。

小田急電鉄では、今回の下北線路街の全面開業を、再開発計画の「ゴール地点」ではなく「新たなスタート地点」と位置づけ、地域住民との街づくりに今後も臨んでいくのみならず、沿線各所で計画中・進行中の街づくりに活かすとしています。鉄道会社が街の発展を支援するニューノーマル時代の再開発計画は、視察の申し込みも多いなど各所からも注目が集まっています。

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